有限会社メイト建築設計事務所
名古屋市名東区香流3丁目606庄中ビル1階
TEL 052-776-4223
私の想うバリアフリーな社会
現在、私は名古屋市の総合リハビリセンターにおいて住宅相談員として活動しております。
実際に住まわれる、その方々とじかに接し、じかに話しをし、
そしてその設計者が直接対応していく事が最も適切な方法と考えます。
気持ち良く快適にすごせるような心への対応(ソフト的な対応 )も施し、
始めて適切な対応といえ、本当の意味での「バリアフリー」であると考えます。
一般家庭の生活スペース以上に心豊かになれるような創意工夫を施し、
家族皆が心身共に居心地よくすごせるような、「しつらい」ができて始めて、
快適で安全な生活をする上でのスタートラインになると思います。
空間の創造を通して、少しでも住みやすい社会へ貢献していけるのではと思っております。
マンションにおける改造例
■介助者への配慮
家族構成は ご夫婦と長女・長男(障害者)さんの4人家族。
寝たきりの状態で、昼夜を問わずの介助。
入浴は呼吸器を使用している為、時間にも制約がある。
現状は、ヘルパー(男性)が来る日に、「抱きかかえ」にて浴室へ行き
夫婦の介助も含め、3人で行なっていた。
通常の車椅子やフラットストレッチャーは状態が適応できない為
リクライニング式車椅子の大型を採用する事とし、改造の計画を進める。
本人の動線・スペースはもとより、介助者の動きと介護方法に配慮した。
■改造を計画する場合
マンションの場合、戸建に比べると様々な問題要因があります。
構造躯体からくる制限により、浴室等の床高がバリアフリーにできるか?
配管位置が固定されている部分があり、希望の位置に水まわりができるか?
換気計画においては、既設ダクトを利用できるのか?
設備を他世帯と共有しているため、施工計画が立つのか?
管理組合の許可範囲で計画できるのか? 等々
マンションの場合、水周りを一ヶ所に集中させ、
そのエリアのみ床高を上げて配管スペースを確保しているケースが多いようです。
リビング床や天井は、躯体に直接仕上げを行なっているケースもあり
設備を含む改修には、困難を極めます。
特に浴室の床下寸法には注意が必要です。
両下肢障害の方の自宅改修例
事故に遭われ両下肢に障害を負ってしまわれたTさん宅の住宅改修。
ご主人の突然の事故。
ご家族にはまだ気持の置場もない中、住宅の話が始まりました。
既設の住宅は2階部分が増築されており構造的には不安定。
そこへEVや2階浴室の計画でした。
構造補強はすべてクリアさせる決意で、ご希望を100%受け入れる体制で打合せました。
住宅を考えていくのには常に「我が家が心地いい理由」を模索していかなければなりません。
もちろんそれは個々人によって違います。
光・風・音・緑・空間・材料・インテリア・設備機器・プランニング等々。
とりわけTさん宅でのポイントは、家族のコミュニケーションそして安心と安全です。
バリアフリーに加えて、
いかに使い易い触れ合いのある動線計画をするかに多くの時間を費やしました。
車椅子と義足歩行の両立、自家用車の利用、家族のかかわり、外来者への対応。
訪れた方の印象も明るく、暖かいものとなるようエントランス部分にも配慮しました。
辛くない(快適性)、危なくない(安全性)、自分でできる(自立性)、使いやすい(操作性)、
を合言葉にすべての場所と部分においてチェックをしながら進行しました。
エレベータ・車椅子昇降機・特殊機器・スロープ・生活スタイル・動線計画・使用材料等々、
検討すべきは多岐にわたりましたが、完成後一段落つきご家族に笑顔を見ることができた時、
住宅にも満足頂いた事を実感しました。
進行性難病の方の自宅新築例
50代ご夫婦が暮らす住宅
ご主人が小脳や脊髄の神経細胞が障害される変性性疾患を患われて
車いすでの生活を余儀なくされている生活でした。
設計に際し、ご要望は多岐にわたりましたが明確なものでした。
コンセプトは「安全・快適に健康的な生活をおくりたい!」
動線はもちろんの事ですが、
視界及び空間の設定、光と空気の流れ、自然素材の多用などに重点を置きました。
ベッドに居ながらにしての屋外の景色、室内の広がり、家族との空間の共有等々。
またディティールにおいては、
壁の出角部分をアールにしてぶつかり防止策をとる等、考慮しました。
植物のお好きな施主様は、庭の植栽に沈丁花も植えられたようで、
視覚はもとより香りからも季節を感じていらっしゃるようで
設計者としてもほっこりした気分にさせていただきました。